「鏡の国のアリス」

ルイス・キャロル作/多田幸蔵訳

エキスパンドブック 386KB/ドットブック版 145KB/テキストファイル 91KB

400円

鏡の裏側の世界、チェスの動きをする世界へ旅するアリス。ハンプティ・ダンプティ、ライオンと一角獣など、異次元世界の生き物と接しながらポーンからクイーンへと成長するアリスを描く「不思議の国」の続編。エキスパンドブック版には楽しいテニエルの挿画を収めてある。

ルイス・キャロル(1832〜98)イギリス・チェシャーに牧師の長男として生まれる。父の数学趣味の影響を受けて育ち、オックスフォード大学を最優秀の成績で卒業。特別研究生として同大学の数学講師となる。1862年、アイシス川でのボート遊びでリデル姉妹に語った話を元に「アリスの地下の冒険」を執筆。アリス・リデルに献呈したところ出版社の目にとまり、「不思議の国のアリスと題して翌年出版された。「鏡の国のアリス」は72年に発表。他にもナンセンス詩集、言語遊戯集、パズル、数学論など多数の著作を残している。

立ち読みフロア
  ひとつのことは確かでした。子猫の白は、それとはなんの関係もなかったということ……みんな子猫の黒のせいだったということです。だって、白はずっと十五分間ばかり、親猫に顔を洗ってもらって(それも割とよくがまんして)いたし、とてもいたずらに加われるはずもなかったからです。
  ダイナが子猫たちの顔を洗うのはこんなやりかたでした。まず、子猫の耳を片手でおさえつけ、つぎに、別の手で、子猫の顔を、鼻から始めて、さかさまに、残らずこすりまわすのです。で、ちょうどいまも、さっき言ったように、白を相手にさかんにそうしていたのです。白のほうは、じいっと横になって、のどをゴロゴロならそうとしていました……きっと、みんな自分のためにしてくれてるのだと感じていたのです。
  でも、黒のほうはお昼すぎに片づいていたので、アリスが大きな肘(ひじ)掛けいすのすみっこに丸くなってすわり、半分はひとりごとを言い、半分はいねむりをしてる間に、アリスが巻きかけてた毛糸玉をおもちゃにして、さんざんはねまわっていましたが、あっちこっちところがしたあげく、玉はすっかりほどけてしまったのです。そこで、玉は結び目とほつれがいっぱいできて、炉(ろ)の前の敷物にひろがり、子猫はそのまんなかで自分のしっぽを追いまわしていました。
 「まあ、いけない、いけない子ね!」アリスは叫ぶと、いきなり子猫をつかみあげ、ちょとキスしてやり、叱られてるのだ、ということをわからせてやりました。
 「ほんとに、ダイナはおまえにもっといいお行儀を教えてるべきだったのよ! そうよ、ダイナ、教えてやるべきだったのよ!」
 アリスはとがめるように親猫を見つめながら、できるかぎりふきげんな声で言い足しました……それから、子猫と毛糸をいっしょに持つと、肘掛けいすによじのぼり、また玉を巻き始めました。

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