「不思議の国のアリス」

ルイス・キャロル作/多田幸蔵訳

エキスパンドブック 458KB/ドットブック版 143KB/テキストファイル 93KB/原書テキスト版 59KB(300円)

400円

チェシャー猫、三月うさぎ、ハートの女王など、不思議な生き物の国を旅するアリスの冒険ファンタジー。しゃれや語呂あわせ、童謡などを駆使した機知に満ちたお伽噺を多田幸蔵氏の苦心の訳でおくる。エキスパンドブック版はジョン・テニエルのカラー挿画入り。

ルイス・キャロル(1832〜98)イギリス・チェシャーに牧師の長男として生まれる。父の数学趣味の影響を受けて育ち、オックスフォード大学を最優秀の成績で卒業。特別研究生として同大学の数学講師となる。1862年、アイシス川でのボート遊びでリデル姉妹に語った話を元に「アリスの地下の冒険」を執筆。アリス・リデルに献呈したところ出版社の目にとまり、「不思議の国のアリスと題して翌年出版された。「鏡の国のアリス」は72年に発表。他にもナンセンス詩集、言語遊戯集、パズル、数学論など多数の著作を残している。

立ち読みフロア
  アリスは土手で、お姉さんのそばにすわり、何もすることがないのにそろそろうんざりしてきたところでした。一、二度、お姉さんの読んでる本をのぞきこんだけれど、絵もないし会話もないのです。
 「あら、絵も会話もないご本なんて何の役に立つのかしら」とアリスは思いました。
  そこで、アリスは、こんなふうに思案していたのです。ひな菊で首飾りをこしらえるのも面白(おもしろ)いけど、わざわざ立ち上がってひな菊を摘(つ)むほどのことがあるかしらと(もっとも思案していたといっても、精いっぱいがんばって、ということです。なにしろ暑い日で、アリスは眠くはあるし頭はぼーっとしていたからです)。
  その時、とつぜん、赤い目をした白兎が一匹、すぐそばを駆けて行きました。
  それは別に《大した》ことでもなかったし、またその兎が、「こりゃ大変だ! おくれっちまうぞ」と、ひとりごとを言ったのも、アリスは《それほど》変わったことだとは思いませんでした(あとになってよく考えてみると、変だなあと思うのがあたりまえだったのにと、アリスは思ったけれど、その時は、何もかもしごくあたりまえに思われたのです)。
  でも、例の兎が、ほんとうに、《チョッキのポケットから時計を取り出して》、それを眺め、それから駆けて行くのを見ると、アリスははっとして立ち上がったのです。ポケットつきのチョッキを着た兎だの、そのポケットから時計を取り出す兎だのを、それまで見たことなんぞ、ついなかったことが、にわかに思い出されたからです。
  そこで、知りたくてたまらなくなり、兎を追っかけて野原を駆けて行くと、兎が生垣(いけがき)の下にある大きな兎穴(うさぎあな)にぴょんと飛びこむところをやっと見とどけることができました。
  すぐさまアリスも兎のあとから穴に飛びこみました。それも一体どうやってまた外に出られるか、なんてことは夢にも考えなかったのです。

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