「告白」(上・下)

アウグスティヌス/渡辺義雄訳

(上)ドットブック 274KB/テキストファイル 165KB

(下)ドットブック 232KB/テキストファイル 118KB

各巻700円

「神を賛美する」とも題されるこの書は、みずからがたどったキリスト教信仰への道のりを、隠すことなく率直に述べた稀有な自叙伝。幼年時代に学業をさぼったこと、青年期の女への執着と放縦な生活との葛藤、キケロの著作によって目をひらかれ、アンブロシウスの説教に心を動かされ、キリスト教に目覚めてマニ教から足を洗ったこと をつぶさに記し、最後には永遠の休息を神に希求して神への賛美を高らかにうたう。

アウグスティヌス(354〜430)初期キリスト教会の教父。「ローマ帝国の穀倉」と称された北アフリカのヌミディア生まれ。カルタゴに遊学し、修辞学を修めて教師となるが、放縦な暮らしに溺れて、そこからの脱却に奮闘する。マニ教に夢中になるが、ミラノで聞いたホルテンシウスの説教を機にキリスト教に傾倒して回心を経験、以後、聖職者として膨大な著作を著し、キリスト教神学の集大成をなしとげた。代表的な著作に「告白」「神の国」がある。

立ち読みフロア
第一巻

初めにアウグスティヌスは神を呼び求め、それから出生のときより十五歳に至るまでの幼年時代および少年時代のことをくわしく物語る。彼はそのころ若者にありがちなあらゆる快楽と罪にふけって学問をおろそかにしたことを告白する。

 第一章

 神にうながされて神の偉大さをたたえ、神を呼び求める。

「主よ、あなたは偉大であり、大いにほめたたえられるべきである」。「あなたの力は偉大であり、またあなたの知恵ははかりがたい」(『詩篇』一四五の三、一四七の五)。人間はあなたの取るに足りない被造物でありながら、あなたをたたえようと欲する。人間はおのれの死の定めを身にまとい、おのれの罪のしるしと、「あなたが高ぶる者にさからいたもう」(『ヤコブ書』四の六、『ペテロ前書』五の五)しるしを身にまとっている。けれども、人間はあなたの取るに足りない被造物でありながら、あなたをたたえようと欲する。あなたは人間をうながして、あなたをたたえることを喜びとなしたもう。あなたは私たちをあなたに向けて造りたまい、私たちの心はあなたのなかに憩うまでは、安らぎを覚えないからである。主よ、あなたを呼び求めることと、あなたをほめたたえることと、いずれが先であるか、またあなたを知ることと、あなたを呼び求めることと、いずれが先であるかを、私に知らしめ悟らしめたまえ。しかし、誰があなたを知らずにあなたを呼び求めるだろうか。知らない人はあなたでないものを、あなたのかわりに呼び求めるかもしれないからである。それとも、あなたはむしろ(人々に)知られるために、 呼び求めたもうのであろうか。しかし、「彼らはまだ信じなかったものを、どうして呼び求めるだろうか」。また「宣べ伝える者がいないのに、彼らはどうして信ずるだろうか」(『ロマ書』一〇の一四)。さて「主を尋ね求める者は、主をほめたたえるであろう」(『詩篇』二二の二六)。なぜなら、尋ねる者は主を見出し(『マタイ伝』七の七参照)、見出す者は主をほめたたえるからである。主よ、私はあなたを呼び求めながら、あなたを尋ね、あなたを信じながら、あなたを呼び求めよう。あなたはすでに私たちに宣べ伝えられているからである。主よ、私の信仰があなたを呼び求める。私の信仰はあなたが私に与えたもうたものであり、あなたの御子(みこ)の受肉と、あなたを宣べ伝える人(ミラノの司教アンブロシウス)〔第五巻第十三章参照〕の奉仕とによって、あなたが私の心に吹き込みたもうたものである。

……(巻頭より)


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