「ファニー・ヒル」

ジョン・クレランド作/伴吉彦訳

ドットブック版 174KB/テキストファイル 118KB

500円

 1749年にスコットランドで書かれたこの作品は、公然と出版が許されるまでの約200年間、地下出版物として脈々と読みつがれてきた。性をめぐる多種多様な人間模様をこれほど多彩に描いた作品は珍しい。娼婦ファニーはどこまでも魅力を失わない。
立ち読みフロア
 だが、その日、マダムの部屋から、かたこと、とかすかな物音がしたので、私はふと何気なく、間仕切りのガラス窓から、中をのぞきこんだのです。こちらは暗いから、むこうからは何にも見えません。
 マダムの部屋では、マダムが若い軍人と何か話しをしていました。私にはまだ見たことのない男ですが、マダムとはいやに親しそうにしていました。彼は若い近衛の騎兵で、まるでレスラーのような巨大な体格の男でした。どこから見ても、精力が満ちあふれている感じです。
 いったいなにが始まるんだろう。ともかくとても普通ではないと感じた私は、息を殺して、身動きひとつせず、じっと部屋の中の様子を見つめていました。私はなにやら怪しい胸のときめきを覚えました。この光景は、きっと自分がまだ知らない、あのなにかを教えてくれるかも知れないのです。
 そしてそれは期待以上の妖しさで事態が進行して行きました。マダムのブラウスもスカートも、スリップも、そして最後のものさえあの近衛の士官はみるみる剥がしかかり始めました。一枚一枚とマダムの体からそれらのものがなくなると、そこには、でっぷりとした肉付きのマダムの姿態が、なにひとつおおうものもなく現われてしまったのです。
 私のところからは真正面に見えますマダムの肉体の肉付きは、考えようによっては、醜いといえるかも知れませんが、それでも、まだまだ女の魅力がまるでなくなった訳ではなく、ある種類の人には、賛嘆させるほど誇らかなボリュームさえ持っていました。
 しかし、もっともっと素晴らしかったのは、たちまち自分の上衣もズボンも脱ぎ捨てて、たくましい筋肉をむき出しにした、その青年士官の肉体でした。彼が動くたびに、陽にやけて赤らんだ、よくひき締まった筋肉がもくもくと動きます。私は彼の裸体にすっかり見とれてしまいました。

 

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