「リルケ詩集」

リルケ/石丸静雄訳

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400円

「親愛なるリルケよ、私が彼のなかに見、そして愛したのは、この世の最も繊細で、最も精神にみちあふれた人、あらゆる精神の神秘に最も多く見舞われていた人であった」これはポール・ヴァレリーの哀悼の辞である。透徹する孤独のなかに安らぎをもとめたゲルマン的、スカンディナビア的な詩魂の精華。

ライネル・マリア・リルケ(1875〜1926)プラハ生まれのドイツの詩人。パリをはじめヨーロッパ各地を旅行、その体験をもとに、愛と死と孤独を深く追求した数多くを詩を発表、二十世紀を代表する詩人となった。「神様の話」「マルテの手記」の著作のほか、詩集「ドゥイノの悲歌」などがある。

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立像の歌

自分の尊いいのちをふりすてるほど
私を愛してくれるのは誰だろう?
私のために海におぼれて死ぬものがあれば
私は石から救いだされて
ふたたびいのちへ いのちへ立ち帰ってゆくのだ

私はそんなにも騒《さわ》ぐ血にあこがれている
石はあまりにも静かだ
私はいのちを夢みる 生きることは楽しいもの
だれひとり私をよみがえらせてくれる
勇気のあるものはいないのか?

それにしても いつか私がもっとも自分に貴重なものを
さずけてくれる生命のなかによみがえるとしたら……
……………………………
私はひとりで泣くだろう
私の石を求めて泣くだろう
私の血が たとえぶどうのようにうれたとて なんになろう!
その血は私をいちばん愛してくれたものを
海のなかから呼びもどすことはできないのだ

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